-Interview with Toshinori Kondo (2004.11.28)-
... Needful Friends ...
Kondo : オレはこういう人間だから、始まりからずっと一人でやってるわけだよ。オレたちが京大で学生の頃に、ドンパチが始まった。京大って言ったらいちおう日本のエリートだよね。オレもその一員にされて18才19才、そのエリート集団の中にオレも４〜５年いたわけだよ。そのエリートの学生たちのあまりにも自主的な判断のなさにまず19才20才で絶望したんだ。そこからオレの物語は始まってるんだよ。
オレは19才で一回絶望したんだ。人間っていうのはこんなに能力のないものか、と。京大の連中と言ったら、もうちょっと賢い連中が日本全国集まってると思ってオレも参加したにも関わらず、団塊の世代というのはロクでもない労働者にさせられた。人間の心の自由ということを一回オレたちは学生運動の時に表現したのに、ズタズタボロボロになった。
それは二度と若い連中には体験してほしくない。若い連中はやっぱり、古臭い言葉だけど共闘を組んで共に戦おうということになったら一生共に戦ってほしいんだ。オレたちの世代は、共に戦おうと一回立ち上がったのに、オレの回りにはあっという間に戦うヤツはいなくなって、極端なヤツらはよど号をやったけど、後のヤツらは会社に入ってしまった。
オレは19、20才のときに本当に一回とことん孤独になったんだ。オレの範囲で、オレのレベルでだけどね。そこで本当に自分の中では絶望したんだ。それがオレの原点としてある。絶対若いヤツらには、そんなことを体験させたくない。若いヤツらは仲間を作って、友達を作ったら一生それでやれっていうのがオレの一番の願いでね。だから今アムスに住んでる上の息子にも、いつも帰ってアムスで会うと「オイ、友達作ったか？」ばっかり訊く。
本当に大事なことは、若いある時期に友達を作り、その友達と一生何かをやる。一生やる。これが、人間として一番力のあることだよ。そう思う。オレは本当に、そういう生き方をみんなにしてほしいと思うよ。オレたちの場合は一回友達にとことん裏切られた。そういう孤独はない方が絶対にいい。
一番大事なのは、これからのヤツらは当然世界に出かけていって、人種も国家も貧富の差も超えて、心の通じる友達を作ることだよ。その友達とのグルーブをずっと続けることだよ。そうすれば、それがもっともっと大きくなれば絶対変わる。今や、それにおいては飛行機代も安い、インターネットもあるんだから、オレたちが学生の頃に比べたら100倍できるはずだ。
オレたちが学生の頃、捕まりそうな東京の友達に赤電話で東京まで市外電話して、数分話したら700円取られてたんだから。あの当時の700円っていったら一日のバイト料に近いぐらいでゲンナリしてたんだ。それでも、東京に行ってる友達が捕まりそうになったら必死になって電話してね。「お前、大丈夫か？ 捕まりそうだぞ」って。じゃあ弁護士を国選にするのか私選にするのかって相談したりしてたんだから。20才前後でオレたちは必死になってやってたよ。
その後、「裏切られた」って言葉は使いたくないけど、オレにとってショックだったのはそいつらが全部大企業の中に吸収されていったことだね。それは20代はじめのオレの心としては本当に切なかったよ。「なんでやねん？ 数人は残れや」って思ったけどね。
今はそれと違うから、友達を作って、その友達と延々議論しても何してもいいからずっと続けていってほしい。どんな外交よりもどんな理屈よりも、本当の意味での友達を作ることはものすごく大事なことのような気がするよ。
例えば日本という国家を考えた場合に、日本の友達の国家ってないもんね。当然、日本という国家は韓国と中国を友達にすべきだよ。一番近いんだから。それさえ、うまいことやってない。そうかと言ってアメリカと友達になれるかと言ったら、それは一目瞭然で、言わなくても分かるでしょ。じゃヨーロッパと友達になれるかと言ったって、戦後50年間努力してなかったわけだから。これから、トヨタあたりが努力を始めてるから、ひょっとしたらヨーロッパのどこかの国と日本が友達になれるかもしれないけど。
国家レベルにおいても友達の国を増やすことが、軍隊を増やすこと以上に大事だし、個人的レベルにおいてもやっぱり悩んだときに一番大事なのは友達だからね。本当に打ち明けられるし、奥さん以上に友達は大事だよ。そういうものがないから、みんな心がさまよってるんだよ。それで宗教は、神様を友達にしろって教えるわけだよね（笑）。
やっぱりオレは、人間である以上は、やっぱり心を打ち解けさせて話せる仲間を作ること、それ以上でも以下でもないと思うんだけどね。
-The End-
