-Interview with Toshinori Kondo (2004.11.28)
... Where Have The Black Power Gone? ...
Kondo : この前ブッシュが再選されたときにオレが一番ショックだったのは、アメリカの黒人票ってのが全然今回話題にならなかったよね。みんな知ってるように、ケネディの時なんかは南部のアメリカの黒人票をニクソンが取るかケネディが取るかでもめたし、クリントンの時までまだ南部の黒人票ってのがアメリカ大統領選にとって非常に気になったんだけど。
南部は基本的に民主党の牙城だった、というのは人種差別に対して共和党は保守的で、 民主党は人種差別を撤廃しようっていうリンカーン以来の主張だから、アメリカ黒人たちは民主党支持だった。でも今回地図を見てみたら、黒人たちが住んでる南部が全部共和党になってたからね。オレはそれが一番ショックで。ブラック・パワーってものがどうなってるんだろうと思って。
ビル・ラズウェルのマネージャーのジョン・ブラウンから電話があったから（ジョン・ブラウンは黒人だからね）、その時ジョンに「ブラック・パワーはどうなってるんだ！」って訊いたんだ。そしたら「いや、黒人は今度はバラバラなんだ」って言ってた。
それと、この30年の中でアメリカのマイノリティはもうスパニッシュの方が多くなったからね。この30年間でスパニッシュ系の移民がものすごく来たから、黒人が昔はマイノリティの中で一番人口が多かったんだけど、人口比率的にスパニッシュが強くなったから、スパニッシュ票のことが話題になったよね、今度は。
でももう黒人票ってのがまったくパワーがなかったんでオレはショックで。それに比べたらオレたちがガキの頃はマーティン・ルーサー・キングも "I have a dream" って言ったし、マルコムＸはもっと過激で、アメリカの中に黒人国家作るから領土をくれ、とまで言ったわけだよね。それと連動するようにジャズに火がついて、ジャズがどんどんドンドン革新していったわけだ。その時オレなんかはガキで「スゴいなぁ」って思ったからミュージシャンになった、それが一つの理由だったんだ。「おおー、やっぱり歴史ってのは動いてるもんなんだなぁ」と思って。
アメリカの黒人のパワーがあそこまでダウンしたということは、やっぱり新しい文化の変遷期なんだろうね。
B : 黒人のミュージシャンの音楽もダウンしてる、ということに繋がるんですか？
Kondo : そうだろうね。
B : 逆にスパニッシュのミュージシャンが出てきてる、ということですか。
Kondo : 今はもう向こうのヒットチャートでも女の子も男の子もスパニッシュ系が多いじゃない。もっと言ったら、10年前でもマライア・キャリーなんかもプエルトリカンだったし。
