-Interview with Toshinori Kondo (2004.11.28)-
... Unchain The Unconscious ...
Kondo : 意識と無意識って言葉が出てきたから、違う説明をすると、この2000年間、人間は無意識を押さえつけるような生活をさせられてきたような気がするんだ。三大宗教というのはなんで生まれたかと言うと、基本的には部族宗教でよかったんだ。だけど、部族を超えて大きな国家を作ろうとした場合には（ローマ帝国なんかはその象徴だけど）、部族を超える大きな心の繋がりが必要なわけだ。だから宗教を作る。キリスト教をローマ帝国の認定宗教にするわけだよ。そうすれば、部族を超えて「キリスト教を信じろ」って言えばそれでいい。でも各部族や民族から生まれた、一番おおらかな、無意識のレベルのものを封じちゃったわけだから、臭いものにフタをするように、一番「命」に繋がっている無意識を封印して人工的な国家を作ったわけだ。
でも2000年経って、だいぶ人間はヘトヘトになってる。だから、もう一回無意識を開放させるのが21世紀なのかもしれない。20世紀っていうのが、この2000年間のまとめをやったような時期で、「意識の解放」ってことを言ったんだよ。オレたちが学生時代の頃からね。それで現代美術が登場したり、フリージャズが登場したりして、意識をとことん解放させることをやった。でも「意識の解放」の挙げ句の果てに、そういう表現はできたけど、まだバラバラ。21世紀は表現というレベルにおいて、一つのテーマがあるとすると、「もう一回無意識を解放させること」のような気がする。20世紀が「意識の解放」だったとすると、大雑把な言い方をすれば21世紀は「もう一度無意識を解放させる時代」なんだ。
そうしたら、一番根っこの部分でみんなが繋がるような気がするんだよ。それはみんな分かるように、例えばおいしい食べ物を探して食べるのは、意識の作業だよね。日本のテレビでもグルメ番組がいっぱいあるけど、でも食べた後、それを消化・吸収して、体にとって滋養になるものを取り込むのは無意識だからね。オレたちが胃に命令して「消化しろ！」って言ったって、胃の調子が悪かったら消化なんかしてくれない。
今の世の中がおかしくなってるのは、意識ばっかりが先行して、一番自然に近い無意識が封印されてしまってるから、子供が暴れてるという言い方もできるかもしれない。大人が意識で子供が無意識というふうに割り当てればね。
