-Interview with Toshinori Kondo (2003.5.3)-
... Too Complex World ...
Kondo：オレは93年ごろに「もう宇宙旅行の方がよっぽど楽しいや〜」と思って、 "TOUCHSTONE" ていうＣＤ作ったときには自分自身が地球から逃げ出したいっていう、「宇宙に引きこもり」状態になってたからね（笑）。ホントだよ、今の世の中はホントに複雑すぎて、何が何だか分かんない、考えれば考えるほど大きなクエスチョンマークがどんどん増える。
それから約10年たって、こうして見ても、ますますもってブラックボックスが増えていくばっかりでね。
本当は、人間は人生をかけて、多少なりとも命の大元っていうブラックボックスを探ることが楽しいはずだったのに、命の大元のブラックボックスどころじゃなくてまた他のいろんなことがややこしくなってね。
それでオレは「地球を吹く」をあの当時始めた。人間社会のヒューマニズムって名前の人間至上主義、人間が一番だ、他の自然の生き物は全部俺に従えっていう人間の発想がオレは本当に駄目で。で今の東京だとかニューヨークだとかロンドンだとか、人間の欲望が重なり合った都市の中で、音が生まれ音が消費されるっていう環境。これがオレには全然分からなくて、それで「地球を吹く」っていうのを始めたんだけど、そうやって10年たって巡ってきてみたら、10年前よりもさらに複雑に、巧妙に、今の社会っていうのはなってしまってる。
でもそれとはまた別におもしろいのは、船でも一緒で「おー、カッコいい船だな」と思ってもゴーグルかけて船の底に潜ってみたら、「そこちょっとイカレてるやろ」とかね。見方を変えてみれば、今の社会はゴージャスだけど、もう沈没寸前のような気もするんだ。「底に穴が開いてるんじゃないか」ってね。
