-Interview with Toshinori Kondo (2003.5.3)-
... Charged ...
新宿LOFTでのライブでやった "OVER THE RAINBOMB"（注・イラク戦争に触発されて作った新曲６曲をライブで初披露した。）は、IMAバンド時代を彷彿とする曲でしたね。
Kondo：ビートも早いしね。"OVER THE RAINBOMB" はIMAバンドの次ってイメージして作ったから。
LOFTでのライブでは若い観客の反応が凄くて、やっぱりIMAバンドは早すぎたのかな、とも思いました。
Kondo：オレ自体が早すぎるというか、オレが25才のときに松山で酒飲んでて、お爺ちゃんが酒場に来て、夏だったんだけど、その爺ちゃんが「ビール、澗してくれ」って言うんだよ（笑）。「ええっ？ ビール、澗？」て思ったけど、ホントにビール暖めて飲んでるんだよ。その爺が突然オレの顔見て「手、出せ！」とか言って手出したら手相見てくれて、「オマエは30年ずれてる」と。「30年前か30年後に生まれりゃよかったのに。もうずっと日本じゃ役に立たん。海外に行くしかない」って言われて。
そのお爺さんは、松山で山頭火の弟子だったんだよ。で、10円手相のお爺さんって名物男で、リヤカー引いては町の中歩いて、それで気に入ったら10円で手相を見てくれるっていうお爺ちゃんだったんだよ。そのとき30年ずれてるって言われたから、そこからしたら、オレが54才だからちょうど今30年だ。今やっとピッタリか（笑）。
99年ごろから、ビル・ラズウェルらと "CHARGED" というユニットとしても活動してますよね。これは近藤さんの中ではどういう位置づけなんですか？
Kondo：1997年だったかな、フィンランドでライブがあって、ビルがいて、どのバンドだったかな、イギリスのナントカいうバンド（注・96年11月フィンランドでのPhantom Cityとのライブ？）と演奏があったわけや。それで、次の日の朝飛行場に行く車の中でビルとオレと二人で、ビルが「コンドー、ずっとアムスにいて、全然活動してないって聞いてるぞ」って言って、オレは「もう何もやりたくないんだ」って言ったら、ビルに「もうちょっとアクションした方がいいぞ」って言われて。
そうしたら、エラルド・ベルノッチって奴からビートのトラックが送られてきて、「ビルに紹介されたんだけど、これにラッパ吹いてくれないか」と。それでラッパ吹いて、ビルがベース入れて、それで99年にＲ＆Ｓっていうレコード会社からＣＤ出すことになって。
それでバンドの名前も考えなきゃいけないってことになって、ちょうどイタリアでエラルドがミックスし終わったところで "CHARGED" って名前にしようよって。曲のタイトルも全部過去完了形にしよう、って決めて。
CHARGED ってのは充電できたってことでしょ。その頃にはたぶん、オレのある種の無意識では、オレもそろそろヨーロッパ・アメリカのバンドでちょっとずつ演奏始めようかな、っていう気分もあったから "CHARGED" って付けたのかもしれない。あんまり深い意味はなかったんだけど。
そしたらエラルドの彼女が「コンドー、CHARGED って日本語で書いてよ」って。なんでかって言ったらエラルドの彼女がグラフィックデザイナーで、ビジュアル的に漢字がカッコいいって言うから。筆ペンも彼女が持っててね。でも「充電」じゃカッコ悪いからね（笑）、何にしようと思ったら、「遍照」って言葉が浮かんでね。「南無大師遍照金剛」って弘法大師の言葉で。
いわゆる曼陀羅っていうのは宇宙にエネルギーが満々と満ちあふれてて、仏っていうのが宇宙に満ちあふれてるということだから、「遍照金剛」なのかもしれない。あらゆる所を照らすってことだから、充電すればあらゆる所を照らすんだからオレは意訳して「遍照」って書いて「これが CHARGED の日本語の意味だ」って言って。いちいち細かいことは説明しないで（笑）。
だから、あの頃でもオレは別にバンドを作ろうとか、そういうつもりは一切なくて、まだ一個の魂がさまよってる感じで、どっかに定着してバンド作って地上でグルーブするというイメージはなくて、フワフワ浮いてる感じで。でもビルもそうやってくれるから、まあやるしかないかな、と思ってやってたんだけど。別に計画性があって、「よし、これでバンド作ってやろう」っていうんじゃなかった。
"CHARGED" は、日本では「Mt. Fuji Aid 2000」と「世界聖なる音楽祭」での二度しかライブをやってないですよね。またやって欲しい、と思ってる人も多いと思うんですが。
Kondo：ヨーロッパではライブは結構やってきたんだけどね。本当は日本でもしたいんだけど、あれだけのメンツ連れてくるとお金要るからね。どっかのプロモーターがキチンとやってくれればいつでも来れるんだけど。
